RESASは、マウスでクリックして、条件を設定すれば、地図上に地域経済分析データが表示される。というものです。「不動産のお部屋探し」のように、気軽に地域ごとの経済データを見ることができます。
RESASとは 地域経済分析システム(RESAS:リーサス)は、地方自治体の様々な取り組みを情報面から支援するために、まち・ひと・しごと創生本部事務局が提供する、産業構造や人口動態、人の流れなどの官民ビッグデータを集約し、可視化するシステムです。 (https://resas.go.jp より)
表示できるデータは、大きく8つのカテゴリに分類されたマップ(人口マップ、地域経済循環マップ、産業構造マップ、企業活動マップ、観光マップ、まちづくりマップ、雇用/医療・福祉マップ、地方財政マップ)があり、都道府県や市町村で地域を絞り込んでデータを表示できます。また2009年〜2014年の推移をグラフで見ることもできます。例えば、「京都市と名古屋市の外国人滞在分析を比較する」といったことが簡単にできます。
RESAS、例えばお店を出す前に使ったり
無料で使えるツールなので、ご自身で色々と触ってみるのが一番手っ取り早いのですが、忙しいし後回し〜という方のために、使い方の例を示してみたいと思います。
例:京都市で持ち帰りやデリバリーのお店をしたい!
例えば、「京都市で持ち帰りやデリバリーのお店(持ち帰り・配達飲食サービス)をしたい!」としましょう。
まず考えるのは、どんな特徴のサービスにしようか?誰を顧客にしようか?電話帳やネット検索でどの程度の市場規模があるのか?ところで競合の数は?などなどですかね。
いきなり具体的で事細かなことを考え出すと、頭がこんがらがってしまうかも。創業計画やビジネスモデルを組み立てていくときは、事実と意見(仮説)をちゃんと分けて、まず全体像を構築しながら、詳細を詰めていくというロジカルな考え方も必要かと思います。もちろん、思考方法は人それぞれ。自分に合ったやり方があるはずですが。。
ここでは、まずRESASで「京都市の持ち帰り・配達飲食サービスの動向」を簡単に調べてみましょう。
(1) RESASのページを開いて(こちら)
(2) 「産業構造マップ」 > 「企業数」を選択する
(3) 表示レベルを市区町村単位の「京都市」とする
(4) 表示産業を(大分類)「宿泊業, 飲食サービス業」> (中分類)「持ち帰り・配達飲食サービス」を選択する
そうすると、マップが表示されます。詳しいデータを見たいときは、「グラフを表示する」をクリックします。
そこで出てきたグラフがこちらです。
(https://resas.go.jp スクリーンショット)
このグラフを見ると、持ち帰り・配達飲食サービスの企業数は、2009年の276社から2014年の255社の21社マイナスとなっています。ちなみに全国の市区町村の企業数順位(2014)は大阪市1位、名古屋市2位、京都市3位、横浜市4位です。
このデータだけをみて、「持ち帰り・配達飲食サービスは流行っていない?!」と考えるのは早計ですよね。
では次に、事業所数を調べてみましょう。
(1) 「産業構造マップ」 > 「事業所数」を選択
以下、上記と同様。
京都市内の「持ち帰り・配達飲食サービスの事業所数」のグラフがこちらです。
(https://resas.go.jp スクリーンショット)
2009年に598事業所、2014年は645事業所となり、47増加していることがわかります。
とりあえず、この2つのデータで
企業数は減少し、事業所数が増加したことがわかります。
ここから分析・想像・妄想できることは、
(1) 事業所数が増えているということはニーズはあるはず(単身者や高齢者などが顧客セグメントか)
(2) 企業数が減少したのは経営は厳しい状況かもしれない(激しい淘汰があるかも…その理由は?)
(3) 高齢化などの理由で廃業したのかもしれない(居抜きの不動産などがあるかも、強力な競合がいるかも、住民が困っているかも)
(4) 吸収や合併によって、組織化が図られているかもしれない(低コストが売りの競合がいるかも)
(5) 企業自体は京都市外にあるようなFC店舗が増えているかもしれない
(6) 組織化や流通のシステム化が行われ、京都市外からデリバリーしているかもしれない
などなどです。
大まかなデータからは大まかな推測(憶測)しかできませんが、大まかでも仮説を立てることができるので、「本当のところどうなの?」といった視点で、街に出て自分の目で確認したり、専門家などに聞いてみると、さらに仮説の精度を高めることができますね。
創業計画を作る際にも活用できる!
ビジネスモデルや創業計画書をつくる際に重要なことは、仮説と検証によって不確実なモノコトをなるべく明らかにしておくことです。
・仮説を作ること
・作った仮説を検証すること
仮説検証によって、どうしても分からないことは「今後明らかにすべき重要な仮説」として、しっかりメモしておくことで、起業し、走り出した後も、しっかりと軌道修正ができると考えられます。
つまり、「やってみなきゃ分からない」というリスクを下げること。
RESASなどの統計データを使った調査・分析と仮説出しは「トップダウン型」といえます。逆に、街に出て、自分の目で見て、肌で感じながら調査・分析・仮説立案することを「ボトムアップ型」と呼べます。トップダウンとボトムアップの両面から、仮説検証を行うことで、より具体的で人に伝わる創業計画をつくれると思います。
ぜひ無料で使える分析ツール「RESAS:地域経済分析システム」を使って、業界自体の課題や、顧客のニーズを検討し、仮説を出してみてください。
RESAS公式ページ:https://resas.go.jp/